司法書士:神奈川県大和・海老名・座間・綾瀬市で、相続、遺言、債務整理、不動産名義変更、会社設立などのご相談。

民事再生

民事再生

 民事再生法は平成12年に施行されましたが、当初は、法人のみが対象の法律でした。平成13の改正で、一般個人もその対象となりました。これが、個人版民事再生(一般に個人民事再生、または単に民事再生と呼びます)です。
 民事再生の申立ては破産と類似しています。破産との違いは、破産は債務全額が免責になり、返済が免除されますが、民事再生では、総債務額の5分の1の支払をしていく、ということです。

 他にも細かい違いはありますが、民事再生の手続を選択する最大の理由は、住宅ローン特別条項があることです。
破産であれば、住宅ローンを抱えて住宅を所有している場合、その住宅は手放さねばなりません。
 民事再生では、住宅ローンと住宅の所有を別枠扱いとして、その他の借入れのみ5分の1に圧縮することができます。
 私が依頼を受けて民事再生の手続を利用したほとんどが、住宅ローンを抱えていた人です。

民事再生手続の概要

 民事再生の手続は、破産申立の手続と類似しています。
 破産をした場合と民事再生をした場合の主な違いは、次の点です。

 概要を分かりやすく説明するため、細かい規定は省略しています。実際に民事再生の手続をする場合には、ご確認下さい。

  • 債務の5分の1(最低100万円)を返済する
     破産をすると、債務は免責となり、返済をしないでよくなりますが、民事再生は、債務の5分の1か100万円のいずれか多い額を返済しなければなりません。すなわち、総債務額が500万円以下であれば、100万円を返済、500万円以上であれば、その5分の1の額を返済することになります。これを、原則3年の分割払いで返済を行ないます。
  • 免責不許可事由が規定されていない。
     破産では、ギャンブルや浪費によって借金をした場合には、免責されないことになっていますが、民事再生ではそのような規定はありません。
  • 職業の欠格事由が適用されない
     破産者には一定の職業に就けないとされているものがありますが、民事再生ではその規定は適用されません。

民事再生手続の種類

 個人民事再生の手続には、次の2種類のものがあります。

  • 小規模個人再生(主に中小企業事業者を対象)
  • 給与所得者等再生(主にサラリーマンを対象)

 給与所得者であれば、給与所得者等再生でなければならないという規定はされていず、どちらの手続によることもできます。
 両者は同じような手続ですが、いくつかの違いがあり、それを考慮してどちらの手続をとるかを選択します。

 給与所得者等再生では、可処分所得基準といわれる収入のうち一定額を返済しなければならないという規定がある等により、給与所得でも小規模個人再生の手続を選択することが多くなっています。

住宅ローン特別条項

 住宅ローンを支払いながら、カードローンなどで多額の借金をしてしまった場合、破産では住宅ローンも手続の対象となり、住宅を手放さねばならなくなります。
 民事再生では住宅ローン特別条項により、住宅ローンは別枠としてそのまま返済を継続、カードローンのみを手続対象とし、その5分の1の返済をすればよいことになります。
 どのような住宅ローンにも適用できるわけではなく、若干の注意が必要ですが、通常に自宅を購入して住宅ローンを抱えているような場合には、適用可能な場合がほとんどですので、司法書士・弁護士に相談するとよいでしょう。


<民事再生> 最終更新 2012-07-11 (水) 21:06:32 by 司法書士下原明(大和市)

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional