不動産登記書類
不動産登記必要書類
通常行なわれる登記の、基本となる必要書類について解説をします。
登記にはここで示すほか、各種変更登記や更正登記、仮登記など多数の種類がありますが、すべてを詳述すると結果的になにがなんだか分らなくなるので、基本的なもののみを記載しています。
また、それぞれの登記には、権利の状況によって別途必要となる書類がありますが、こちらも同様に記載を省略いますので、詳細については、ご確認ください。
基本的な考え方
不動産の取引をするときには、不動産登記をすることになります。不動産登記をすために、まず準備しなければならない書類として思い浮かぶのは、権利証と印鑑証明書、ということになります。
不動産登記は、不動産の権利を取得する権利者と不動産の権利を失ったり制限を受ける義務者が共同して申請をします。どのような不動産登記を申請するかによって、この権利者と義務者がそれぞれが準備することが必要な書類が定められています。
不動産登記には、登記をするために作成してそれに押印をすることが必要な書類と、不動産登記をするために別途用意することが必要な書類があります。
全体像を理解するため、一般に不動産登記をするときに必要となる基本的な書類をまずは列記しておきます。
所有権移転登記
所有権移転登記に必要となる書類は次のとおりです。
義務者
- 権利証
- 印鑑証明書
- 委任状(法人の場合は、資格証明書も)
権利者
- 住民票
- 委任状(法人の場合は、資格証明書も)
所有権保存登記
所有権保存登記に必要となる書類は次のとおりです。
所有権者
- 住民票
- 委任状(法人の場合は、資格証明書も)
通常の建物の所有権保存登記には、登記原因証明情報は不要ですが、マンションの所有権保存登記を行なうときには、登記原因証明情報が必要となります。
抵当権設定登記
抵当権設定登記(根抵当権も同様)に必要となる書類は次のとおりです。
- 登記原因証明情報(通常は銀行が作成する契約書)
設定者(=義務者、抵当権を設定する不動産の所有者)
- 権利証
- 印鑑証明書
- 委任状(法人の場合は、資格証明書も)
権利者(通常は銀行)
- 委任状(法人の場合は、資格証明書も)
なお、債務者に関係する書類は、登記申請には一切不要です。
抵当権抹消登記
抵当権抹消登記(根抵当権も同様)に必要となる書類は次のとおりです。
- 登記原因証明情報(通常は銀行が交付する書面)
義務者(通常は銀行)
- 抵当権の登記済証
- 委任状(銀行を含む法人の場合は、資格証明書も)
権利者(不動産の所有者)
- 委任状(法人の場合は、資格証明書も)
所有権登記名義人変更登記(住所変更、氏名変更)
申請人(住所を変更した不動産所有者)
- 登記原因証明情報(=住民票、戸籍など)
- 委任状(法人の場合は、資格証明書も)
特別な書類が必要となる場合
以上であげたものが、通常の登記を申請する場合に必要となる処理ですが、このほか、権利の状況によって、必要となる書類があります。どのようなものがあるのか、代表的なものをあげておきます。
農地の取引
売買等で所有権移転を行なう土地が、畑や田などの農地である場合は、農地法により所有権移転の制限を受けるため、農地法の許可書または農地法の届出書が別途必要になります。
利益相反取引である場合
会社の不動産を取締役と取引する場合には、その取引を認める決議をした取締役会議事録と取締役の印鑑証明書などの書面が必要となります。
利益相反取引とは、ここでいう、会社と取締役が取引をするような場合のことをいい、会社と取締役は別人ではありますが、実際には会社の行為は取締役が行なっているので、例えば会社の不動産を不当な低価格で取締役に売却するということができてしまうので、一定の制限を設けているものです。
未成年の子供が所有する不動産を親と取引する場合も、利益相反取引となって親が子供に代って取引をすることができず、別途特別な手続が必要となります。
<不動産登記書類>最終更新 2012-07-27 (金) 22:39:38 by 司法書士下原明(大和市)