会社設立
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会社の設立
自分で事業を行なおうとする場合、個人事業主として行なうか、会社を設立して行なうかを選択することになります。
行なう事業の内容や、将来の展望、事業を始めるにの必要な費用などを総合的に検討し、会社を設立して事業を行なおうと決定した場合は、次のような手順で会社の設立を行ないます。
株式会社設立の手順
会社を設立する手続の流れは次のようになります。
- 誰が会社の設立に関わるのかを決める(出資者、役員)
- 会社の基本事項を決定する(商号、本店、目的、その他)
- 定款を作成して公証人の認証を受ける
- 出資金を用意し、銀行へ預ける(通帳の写しが必要)
- 会社の実印を用意する
- 必要書類を用意して、法務局へ会社設立登記を申請する
- 税務署、年金事務所、その他へ会社設立の届出をする
出資者・役員の決定
誰がお金を出し、誰が会社を経営するのかを決定します。
出資するお金が資本金で、お金を出す人が株主となり会社を所有します。資本金は1円でもよいことになっているので、実際に事業を開始するのに必要なお金を準備し、それを資本金とすれば足ります。
役員とは、取締役、代表取締役、監査役などで、会社の経営を担います。最低、取締役1名が必要となりますが、他の役員はその会社の実情に応じてどのようにするかを決定します。
個人が初めて会社を設立しようとする場合には、出資者はその人1名かその家族数名が出し合う、役員は出資者が取締役となる、という形態になることが普通です。
最も小さな構成としては、資本金1円、株主1名、取締役1名(自動的に代表取締役となります)で会社を設立することが可能です。
会社の基本事項の決定
次の事項を検討して決定します。
- 商号
会社の名称で、一部注意点がありますが、好みの名前を付けることができます。- 目的
会社の事業内容です。営利性があるものであれば、どのような目的としてもよい(一部制限はありますが)ことになりましたので、実際にその会社で何をしたいのかを考えて決定します。- 本店
会社の所在地で、会社を経営する事務所の住所です。個人で始める場合、自宅を本店所在地とすることも多いです。- 資本金と発行する株式の数、1株の価格
出資金に応じて資本金が決まり、発行する株式の数と1株の価格を決めます。1株の価格は5万円とするのが一般的ですが、資本金が少ない場合には、1株の価格を少額にすることも検討します。- 決算期
会社は1年に1度決算をし、法人税を納めることが義務付けられています。何月に決算をするのかを決めます。上場企業などでは、3月決算が多いですが、税理士に税務を頼むなどの税務上の都合を考えると、3月や9月などの決算が集中する時期は避けるのが得策です。- 会社の機関
取締役会を設置するかしないか、監査役を置くかおかないかなどを決定します。
個人で初めて会社を設立する場合は、取締役会や監査役などを置かず、取締役のみ置かれた会社を設立することが多いです。
多少規模の大きな会社を設立する場合には、取締役を3名以上とし、取締役会と監査役を1名置く(これが従来の株式会社の最低構成です)とするのが基本となるでしょうか。
機関構成はその後に株主総会の決議で変更することが可能です。- 役員の任期
従来は株式会社の取締役の任期は2年、監査役は4年と法定されていましたが、現在は定款で定めることにより10年まで伸張することができますので、任期の年数を決定します。
任期毎に、役員変更の登記をする必要が生じ、手間と費用がかかるので、任期を長めに設定するのが得策ですが、余り長くしてしまうと、役員変更登記をするのを忘れてしまう、問題のある役員を任期中辞めさせるのに損害を補償しなければならないなどの問題が生じる可能性があるので、これらを考え合わせて決定します。- 会社の公告をする方法
多くは官報にて公告をすることにしますが、自社ホームページで公告をする電子公告の方法を選択することもあります。
このほか、次のような事項を決定する必要があります。会社の実情に応じて決定をしますが、多くの場合は、一般的な内容でそのまま決定します。
- 株式に関する事項
発行可能株式総数(発行する株式総数の4倍)
株券を発行するかしないか(株券を発行しない)
株式の譲渡制限(譲渡制限をする)
その他株式に関する事項- 株主総会に関する事項
株主総会の招集、決議の方法など- 役員(取締役、代表取締役、監査役など)に関する事項
取締役、代表取締役、監査役の定数
取締役の責任免除の規定
選任の方法など
定款の認証
会社の基本事項が決定されると、それに従って定款を作成します。
定款とは、会社の組織や運営などの基本ルールを定めたもので、会社の設立時に原始定款と呼ばれる最初の定款を作成し、その後、必要に応じて 株主総会で変更をすることができます。
株式会社では、最初の原始定款は公証人の認証を受ける必要があります。
従来は、定款は書面で作成したものを公証人役場で認証を受けていましたが、現在は、ワープロで作成し、電子認証をうけることができます。電子認証にする利点は、書面の定款には4万円の印紙を貼る必要がありましたが、電子定款には印紙が必要なく、印紙税4万円が節約できます。
なお、通常公証人役場を利用する場合、全国どこの公証人役場を利用するのも自由ですが、会社の定款の認証は、同一県内の公証人役場を利用する必要があります。
なお、公証人役場で定款の認証を受けるには、出資者(発起人といいます)の実印の押印と印鑑証明書が必要となります。
出資金の準備
定款の認証が終わった後に、会社の出資金を受取る口座を用意し、その口座へ出資金を振込みます。
定款の認証前に口座に出資金を用意しても、出資金のために用意したものと認められないので注意が必要です。
会社の登記申請には、この通帳の写しを添付する必要があります。
会社実印の作成
定款認証、出資金の準備と並行して、会社の実印を作成しておく必要があります。この印鑑をもって、会社の設立登記申請と同時に印鑑登録をすることで、これが会社の実印となります。
会社実印作成の際には、社判と呼ぶ会社のゴム印と、必要に応じて会社の銀行印、認め印として利用する角印を同時に作成します。印章店には、会社設立セットとして以上の印鑑をセットしたものが販売されています。
登記申請必要書類の準備
会社設立登記の申請のためには、会社の取締役となる人の印鑑証明書が必要となります。
この他、登記申請書、出資金証明書、発起人決定書、取締役決定書、印鑑届出書などの書面を準備し、必要な箇所に押印をします。
会社設立登記の申請
以上の準備が整うと、管轄の法務局へ会社の設立登記を申請します。会社は、設立登記を申請することで成立します。
従来、各地域を管轄する法務局が会社設立の登記の管轄となっていましたが、現在は商業登記ができる法務局が各県内に数カ所に集められ、各地の法務局では会社設立の登記を受け付けていません。
神奈川県下では、横浜市・川崎市内の会社は横浜地方法務局本局、その他の市町は横浜地方用務局湘南支局の2カ所が管轄となります。
会社設立の登録免許税は最低15万円、資本金の額の1000分の7です。
会社設立の届出
会社の設立登記が完了すると、次の各所に会社を設立した旨の届出をする必要があります。
- 税務署(国税関係)
- 県税事務所と市区町村(市県民税関係)
- 年金事務所(年金・社会保険関係)
- 労働基準監督署とハローワーク(雇用保険関係)
雇用する従業員がいない場合には届出は不要です。
合同会社 の設立
合同会社 の設立手続も株式会社の設立手続とほぼ同様ですが、以下の点に違いがあり、設立に必要な費用や手間が少なくて済みます。
- 定款を作成する必要はあるが、公証人の認証は必要ない。
- 会社設立登記の登録免許税が6万円で済む
(株式会社は15万円、なお資本金が多い場合はそれに応じて1000分の7の登録免許税がかかります)
<会社設立> 最終更新 2012-07-27 (金) 22:52:12 by 司法書士下原明(大和市)